長めの短編小説を投稿するスレ

創作・文化 小説 SS

35 Res. 0.1 MONA 2 Fav.

1 :Frobozz三段:2017/12/03 05:18:53 (6年前)  0.1MONA/1人

SSにしては長めの小説を投稿するスレです

大体2000文字~2万文字くらいを目安に考えてますが
飽くまで目安ですので多少ずれても問題ないです

数百文字とかのもっと短いSSを投稿したい人は
http://askmona.org/3056
↑こちらのトピックに投稿しましょう

2 :Frobozz三段:2017/12/03 06:10:21 (6年前)  0MONA/0人

便利な文字数カウント
http://www1.odn.ne.jp/megukuma/count.htm
1レスの限界は1024文字、改行は15行です

3 :Frobozz三段:2017/12/03 06:14:02 (6年前)  0MONA/0人

「傘地蔵」の続き

地蔵に傘を被せただけで巨万の富を得た老夫婦だったが、それで全てが上手くいく訳ではなかった。あの雪の降る日、峠には6体の地蔵が佇んでいたが、爺はそのうちの5体にしか傘を被せなかったのだ。

地蔵業界では人間からどの程度の供え物を貰うかによって厳しい序列が決められていた。やむを得ぬ事とはいえ、使い古して汚れた爺の手ぬぐいを頭に被せられた1体の地蔵は仲間の前で大層な恥をかいた。
「わしらは日ごろから人間どもに好かれておる、故に傘を被せてもらえたのだ。」
「貴様は面構えが悪い。だから手ぬぐいなど貰うのだ。」
「お前の様な地蔵界の落ちぶれ者が我らの隣に並び立つとは笑止なり。」
仲間から何を言われても、その地蔵は黙って耐える他なかった。

5体の地蔵が爺の家に財宝を送り届ける間、手ぬぐいを被せられた1体の地蔵は峠に残って怒りに身を震わせていた。
「おのれ薄汚い人間め。よくもわしに恥をかかせおったな。」
その地蔵は地獄の鬼かと見まごうばかりの表情を浮かべ、真っ白な雪の中をゆっくりと歩きだした。吹き荒れる嵐が地蔵の姿を直ぐにかき消し、辺りにはもの悲しい静寂だけが残った。

それから5年程が過ぎ、爺と婆は地蔵から貰った財宝を元手に便茶亜(べんちゃあ)企業を作り、更に巨大な富を手にしていた。

4 :Frobozz三段:2017/12/03 06:16:28 (6年前)  0MONA/0人

「婆!これを見よ!近江の脇山屋に無理を言って作らせた黄金の草履じゃ!」
爺はそう言うと純金製の草履を婆に見せびらかした。
「天下広しといえど黄金の草履を履いた行商人などわしくらいのものよ!うははははは!」
品の無い大笑いが二人暮らしには広すぎる大屋敷にこだまする。
「何を言うとんのやこの老いぼれ爺は!そんなもんよりこっちを見い!わざわざ京都の珠美屋から特別に取り寄せたんやぞ!」
「何!?京都の珠美屋というと、あの平安の頃から続く老舗で将軍家や一部の人間相手にしか物を売らぬはずの珠美屋か!?」
「そうや、その珠美屋に無茶を言ってわし相手に特別に物を売って貰ったんや。」
「特別じゃと、おい婆、お前、珠美屋相手に何をしたんじゃ。」
「何も無いわ。わしがやることっちゅうたらこれやがな。」
婆はそう言うと爺の目の前に手を差し出し、指先で輪っかを作って見せた。
「金か。」
「そうや。わしらみたいな田舎成金が珠美屋みたいな上等なもんに近づこ思うたら銭しか無いわな。」
「それもそうじゃな。で、その珠美屋から何を買った。」
爺が聞くと、婆はきらきらと黄金色に光る薄くて小さなものを指で摘まんで見せた。

5 :Frobozz三段:2017/12/03 06:17:36 (6年前)  0MONA/0人

「なんじゃそれは。」
「聞いて驚くわ。黄金の八つ橋やで。」
「何?」
「じゃから、金で出来た八つ橋や。」
「金といってもお前、それは全部金で出来とるのか?」
「そうや、これは中身も外側も全部が純金や。」
「全部純金だったら食えんじゃないか。」
「ボケ!誰が食うかこんなもん!これは眺めて楽しむもんやがな!」
「はあ?w」
「わしらは肉やら酒やら食い飽きたし飲み飽きたんじゃ!ほしたらもう飲み食いなんかはどうでもええんや!」
婆が爺の顔を真っすぐ見つめ、力強く語りだす。
「これからの金持ちはの!金を眺めて楽しむんや!わしらはもう金なんぞ使い飽きたしどうでもええんや!余っとるからの!」
「金の使い道なんぞ考えるのは庶民や!わしらは全部食べて飲んでもう飽きたんや!金に使い道なんぞ無いんや!」
「じゃあもうこれしかないやんけ!金が余っとるっちゅう事を実感する為だけに、金を眺めて楽しむんや!」
婆は黄金の八つ橋を爺の目の前に掲げ、にやにやと笑いながら大声でまくし立てた。

6 :Frobozz三段:2017/12/03 06:18:41 (6年前)  0MONA/0人

「何を言っとるんだお前はw」
「何もかんもあるかいやw金を眺めて遊ぶんやがなw」
「この婆もう惚けたのかwww」
「爺wwwお前は年中惚けとるやろwww」
「wwwwww」
「金が余ってしょうがないわwwwwww誰か使ってくれんかのうwwwwww」
「wwwwww」
「金じゃ金じゃあ!wwwwwwこの世は金が全てじゃあ!wwwwww」

すっかり狂気に染まった老夫婦は毎日を笑い転げて暮らしていた。
かつて雪の降る峠で地蔵に傘を被せてあげたあの日の様な、人間としての慎ましさや他人への思いやりといったものは、
この時の二人の心の中からはすっかり消えていたのだった。

7 :Frobozz三段:2017/12/03 06:22:20 (6年前)  0MONA/0人

二人が笑いながら毎日を過ごしていると、その年の冬が来た。
そして年末のある日、あの地蔵を助けた日と同じで強い雪と風が吹き始めた。
爺と婆は室内に山積みにされた金銀財宝に寄り掛かりながら、満足した様子で囲炉裏の火を眺めていた。
暖かい部屋、綺麗な服、美味しい食べ物、有り余る資産。
今日という日に何も不自由しなくなった老夫婦は何気なく昔の事を思い出し、どちらともなくあの雪の日の事を語り始めた。

8 :Frobozz三段:2017/12/03 06:22:40 (6年前)  0MONA/0人

「まあ、わしらがここまでこれたのも、あの地蔵共のお陰かもしれんな。」
「ほうじゃな、あいつらがあれやこれやくれたお陰で今のわしらは大儲けやからな。」
「しかしあの地蔵共、馬鹿な事をしたものよ。」
「馬鹿?」
「わしらに渡さずに自分達で財宝を独り占めすればよいものを、わしの作ったボロ傘と交換しおったわw」
「言われてみればそうじゃのうw」
「ほんの気まぐれで地蔵に傘を被せただけでこのぼろ儲けよ。真面目に働くのが阿呆らしくもなろう。」
「そうじゃのうw」
「しかも6体の地蔵の内の1体には、わしの使い古した手ぬぐいを被せてやったわwww」
「あんなボロ地蔵にはあれで充分というものよw」
「爺の手ぬぐい一つに感謝して、あんな大きなお礼をするということは、さては地蔵の奴ら、相当人間の優しさに飢えておったのかもしれんなwww」
「そうじゃのうw」
「近頃は神や仏など信じる阿呆はめっきり減った。地蔵なぞ言わずもがな、誰からも必要とされんのだw」
「何の役にも立たん馬鹿地蔵共が、このわしらの役に立てただけで有難いと思うんじゃなwww」
「むはははは!!wwwwww」

9 :Frobozz三段:2017/12/03 06:24:34 (6年前)  0MONA/0人

神も仏も何もない。下劣な畜生の如き笑い声が屋敷に響き渡った次の瞬間、突然大きな音がして玄関の戸が開いた。
「!?」
「何じゃ今の音は!?」
冷たい風と雪が一気に部屋の中に吹き込み、爺と婆の髪や着物をばさばさと揺らす。そして囲炉裏の火も消え真っ暗になった室内に黒い影のようなものが浮かび上がった。影は爺と婆の目の前まで近づいて来ると、突然大きく膨らんだ様に見えた。
「も、もののけじゃ!もののけが出おった!」
爺は黒い影と婆、そして自分自身に向けて確かめる様に叫んだ。
「へぇあ!ひいいいいいいい!!」
婆は我を忘れて甲高い叫び声を上げた。
「婆!しっかりせんか!二階の物置にあるわしの萌奈を取ってこい!それでこいつを叩き切るんじゃ!」
喪奈というのは爺が巨大市場「萌奈比位」(もなっぴい)で購入した日本刀、萌奈一文字の事だ。防犯目的で購入したはいいものの、今まで全く使う事もなく倉庫の奥に眠ってしまっていた。
「お、おきゃああああああ!!お、おおお助けええええ!!」
婆は恐怖に囚われ正気を無くしているようだった。がたがたと体を震わせ顔がぐしゃぐしゃに歪んでいる。暗闇の中で狂ったように、きいきいぎゃあぎゃあと叫び声を上げる婆自身がむしろもののけに近かった。

10 :Frobozz三段:2017/12/03 06:26:16 (6年前)  0MONA/0人

「婆!落ち着け婆!わしらは金持ちじゃ!金持ちがもののけ如きに負けたりせんわい!」
「ひいいいいい!!」
「婆!これを見い!こんな沢山の小判があるんじゃ!わしらには金があるんじゃ!金より強いものなんか無いんじゃ!」
「ひえ、、、?」
「そうじゃ!これを見るんじゃ!金じゃ!金を見るんじゃ!」
「か、かね、、、」
さっきまで怯えていた婆は目の前の小判をじっと見ると、徐々に落ち着きを取り戻し始めた。
「そうじゃ!人間は金を見て生きていくんじゃ!金から目を逸らして生きてはゆけんのじゃ!」
「、、、、、、」
暗闇で微かに光る小判を見る婆の目はとても安らかだった。まるでこの世の全ての苦痛から解き放たれた、悟りを開いた修行僧の様な顔をしていた。
自分の命が危ないかもしれない。財産も全て無くなるかもしれない。目の前にいる不気味な黒い影は自分と爺を呪い殺して全てを奪うかもしれない。
そんな状況にも拘わらず、婆の目の前に掲げられた小判は婆の心を落ち着かせるのだった。
婆は金に対する考え方が常人のそれとは違っていた。
婆の人生というのは金が全てだった。
婆はそういう女だった。

11 :Frobozz三段:2017/12/03 06:27:38 (6年前)  0MONA/0人

爺が婆をなだめていると、黒い影が喋りだした。
「神も仏も信じぬそうだな」
重い石同士をこすり合わせたようなごりごりと擦れる様な声が聞こえた。もののけには有無を言わさず襲い掛かるようなものもいれば、人間の言葉が分かるものもいる。爺と婆は目の前の黒い影が人間の言葉を使ったことで、幾分か心を落ち着かせる事が出来た。
「仏の見守るこの現世に、お前達の様な外道が生きておるなど、世も末じゃ」
黒い影は爺と婆を見下ろしながらくぐもった低い声で話し続ける。
「沢山の人間を見てきたが、わしら地蔵を馬鹿呼ばわりしたのはお前がはじめてじゃ」
そう言うと今まで真っ黒だった影が、徐々に、微かに、青白く光り始めた。僅かな光に照らされて、黒い影に手や足や顔があり、人の形をしていると分かった。
その黒い影は、あの雪の日に爺が峠で手ぬぐいを被せた、あの地蔵だった。

12 :Frobozz三段:2017/12/03 06:28:42 (6年前)  0MONA/0人

「お、お前は!? あの時のボロ地蔵か!!」
爺は目を見開いて叫んだ。
ついさっきまで昔話をしていたせいか、あの日の地蔵が目の前に現れて直ぐにそれと気づいたのだ。
しかし、まさか5年前のあの日、雪の中に佇んでいたあの地蔵が、こうして自分に再び会いに来るとは思ってもいなかった。
ボロ呼ばわりされた地蔵は、ごりごりと音を立てながら爺の方に首を向けた。
「確かにわしはボロじゃ。お前達の来ている立派な着物に比べれば尚更ボロじゃ。」
確かに、目の前に立つ地蔵は薄汚い身なりをしている。長年風雨に晒され少しずつ泥や汚れが付いたのだろう。
「しかし、『身なりはボロでも心は錦』という言葉がある。見た目が悪くても心が美しければ、それはとても立派な事じゃ。」
「幾ら着物が上等でもお前達の様な心の汚れた人間が着るのでは意味が無い。せっかくの着物が泣いておるわ。」
地蔵は薄暗い室内にじっと佇みながら、老いた夫婦に言い聞かせる様に語った。
ところがそれを聞いていた婆が突然一枚の小判を地蔵に向かって強く投げつけた。
小判はカチンと音を立てて地蔵の胴体に当たり、その足元に落ちた。

13 :Frobozz三段:2017/12/03 06:29:43 (6年前)  0MONA/0人

「何を抜かしよろんじゃこのボケ! 何が『身なりはボロでも心は錦』じゃ! 下らん事を言いよってからに!」
さっきまで震えていたはずの婆が突然元気になって喋り始めた。
「もののけや思ったらなんじゃい! ただの地蔵やんけ!ビビらすなや!」
相手の正体が分かって安心したせいか、急に強気になったようだ。
「身なりがボロいっちゅうだけで人からは見下されるんや! 人間はいちいち相手の心なんか見んのや! 見るのは外側や!」
「どうせお前は自分がボロしか着れんもんやからわしらの着物に嫉妬しとるだけや! そうやろ!」
婆は地蔵に向かって怒鳴りつけた。
「わしらが何を着ようとわしらの勝手じゃ! 人の家に勝手に上がり込んで偉そうな説教しおってからに!」
「どうせあれこれ下らん説教をして最後にはわしらの金を寄越せと言って来るんじゃ!」
「やれ仏がどうの地獄がどうのと散々怖がらせておいて、金を払えば天国に行けるだのなんだの言うんやろうが!」
「お前ら乞食の手口は捻りが無いからもうバレとるんじゃ! さっさとそれ持って出ていけ!」
婆は勢いよくまくし立てて最後に地蔵の足元に落ちた小判を指さした。
「金が欲しいんならくれてやるわい! それ一枚あったらしばらく遊んで暮らせるわ! はよ拾え! それ持って出てけ!」

14 :Frobozz三段:2017/12/03 06:30:17 (6年前)  0MONA/0人

地蔵は足元の小判をちらっと一目見ただけで拾おうとはせず、婆の顔をじっと見て言った。
「婆。わしは金が欲しくてここに来たんではない。わしら地蔵は金などいらん。」
「嘘言うなや! じゃあ何しに来たんや!」
「わしは金を取りに来たんではない。そこの爺を懲らしめに来たのだ。」
地蔵はそう言うと、またごりごりと音を鳴らしながら首を動かし爺を見た。
「わしを懲らしめるとはどういうことじゃ。わしはお前に悪い事はしとらんじゃないか。」
「ほうじゃ。この爺はお前ら地蔵に傘を被せてやった恩人じゃ。それを仇で返すっちゅうんか。」
爺と婆が言い返したが、地蔵も動じる事なく言い返した。
「恩とはなんだ。他の5体の地蔵には立派な傘を被せて、残り1体のわしにはぼろ布を被せるのがお前の言う恩か。」
「地蔵界では人間からどの程度の供え物を貰うかで序列が決まる。手ぬぐいなど貰ったわしは地蔵界の笑いものよ。」
地蔵は語気を強めながら言った。

15 :Frobozz三段:2017/12/03 06:31:04 (6年前)  0MONA/0人

しかし、わざわざ雪の降る寒い中で自分の手ぬぐいを地蔵に被せてやった爺からすれば地蔵の言い分は我儘に聞こえる。
「何を言うかと思えばそんなことか。ただの逆恨みではないか。」
「このクソ地蔵めが! 供え物に注文付けて人間を逆恨みとはなんちゅう捻くれた地蔵や!」
確かに、本来ならば地蔵への供物は義務ではない。
人間の善意や信仰心が大事なのであって豪華な供え物をする義務など無い。
ところがそれは昔の話。
最近では地蔵業界にも熾烈な市場競争の波が押し寄せており、
営業成績の悪い地蔵は直属の上司である仏から解雇を言い渡され路頭に迷う他なかった。
爺を懲らしめに来たこの地蔵も昔は京の都の大通りで華々しい地蔵ライフを送っていたが、
ある日を境に営業成績が低下、左遷同様の人事によって田舎の寂れた峠道に赴任したのであった。
その新しい勤務地でも同僚地蔵に馬鹿にされ、挙句に爺の薄汚れた手ぬぐいなど供えられたのでは我慢がならぬ。
仏からの解雇通告を待たずに、この地蔵は自分から地蔵業界に別れを告げ、爺への復讐を決意したのであった。

16 :Frobozz三段:2017/12/03 06:32:29 (6年前)  0MONA/0人

「黙れ。わしの地蔵としての誇りを全て奪い去ったお前達の戯言など聞きたくもないわ。」
「お前達はわしの一番大切なものを奪った。ならばわしもお前達が一番大切にしているものを奪ってやるわ。」
地蔵はそう言うと部屋に山積みにされた財宝を睨みつけた。
地蔵の目が不気味に赤く光り、何やら小声で呪文を唱えているようだ。
「な、何をしよるんじゃこいつ!」
「落ち着け婆! こんな下っ端の落ちぶれ地蔵に出来る事などたかが知れておるわい!」
爺と婆は冷静さを保とうとしたが内心では何か恐ろしい事が起きるのではとびくびくしていた。
その予想は的中し、爺と婆にとって最も恐ろしい事が起きたのである。

17 :Frobozz三段:2017/12/03 06:34:08 (6年前)  0MONA/0人

「見よ。お前達が何より大切にしていた金銀財宝を全て石ころに換えてやったぞ。」
「!?」
「!?」
何という事だろう。爺と婆が振り返ると部屋に山ほど積み上げてあった財宝が全て石ころに変わっているではないか。黄金に光輝く小判も、美しい着物も、食べきれぬ米や肉や酒も、全て道端に転がる石ころに変わってしまったのだ。

「はぁあああぁあああぁ!? な、なんじゃこれはぁあぁあぁ!?」
「わ、わしの!! わしのお宝がああああああああ!!??」
爺と婆は何が起きたのか理解出来ず、半狂乱になって叫んだ。
「あああえあああ!! わ、わしの友禅!! 当代最高と言われた着物、萌奈友禅はどこじゃあ!!」
「わしの酒ええええええ!! 萌奈大吟醸はどこじゃあああ!」
爺と婆はさっきまで光り輝く財宝だった石ころの山に飛び掛かり、必死に財宝を探した。
二人が石ころの山に勢いよく飛び乗ったので山が崩れ、ごろごろと石が転がり、爺と婆の頭にぶつかった。大きな石が当たって頭から血が出ても、二人はお構いなしに財宝を探した。
しかしいくら石ころの山を掘り返しても出てくるのは石ばかり。
石の山の下には少しくらい財宝が残っているかもしれないと思いきや、何も無い。
全ての石ころを確かめてみたが財宝は全く、何一つ残っていなかった。

18 :Frobozz三段:2017/12/03 06:35:30 (6年前)  0MONA/0人

「かかかかか、金えええええええ!!」
「ひひひひひひひひひひひひ!!」
頭から噴き出した血がだらだらと下に流れ落ち、老夫婦の顔は赤く染まっている。
年老いた夫婦は余りに残酷な現実を受けいれる事が出来ず、ただ叫び声を上げるしかなかった。
「えけえええええ!! けええええええええええ!!」
「のごっ!! ごうっ!! おげああああああああああ!!」
二人の叫び声は最早人間のそれではない。
もしも陰陽師や退魔師が近くにいれば、二人を魔界の生物と勘違いして即刻退治していたであろう。

19 :Frobozz三段:2017/12/03 06:37:22 (6年前)  0MONA/0人

「爺。婆。よく聞け。それは仏や地蔵を敬う心を無くしたお前達への罰じゃ。」
「きょおおおおおおおお!!」
「あひゃららららららら!!」
「わしには手ぬぐいを被せたとはいえ、他の地蔵には傘を被せてやる辺り、昔のお前達には仏を敬う心があった。」
「げむむむむむむむ~!!」
「ちちちちちちにゃ!」
「お前達は財宝に心を奪われて仏を信じる心をすっかり無くしてしまったのじゃ。信心を取り戻さねばならぬ。」
「ひょ!? ひょひょひょひょ!」
「くひひひひひひ!!」
「お前達には今から試練を与える。信心を取り戻す為の試練じゃ。」
「げえ!」
「ぐえ!」
「富士山の樹海は知っておろう。樹海のどこかに弥勒菩薩の転生に必要な7つの宝玉がある。それを集めるのじゃ。」
「wwwwww」
「wwwwww」

20 :Frobozz三段:2017/12/03 06:39:26 (6年前)  0MONA/0人

「7つの宝玉全てを集める事が出来れば、その時は、お前達の心に仏への信心が戻ったと認めてやろう。」
「!?!?!?」 「!?!?!?」
「今から富士の樹海に行って、宝玉を集めてくるのじゃ。」
「◎△◇●▼◆」 「◎△◇●▼◆」
「聞いておるのか。」
「・・・・・・?」 「・・・・・・?」
「お前達に仏を信じる心が戻れば、その石ころを全て元の財宝に戻してやろう。」
「何!? それは本当か!?」 「何!? 本当やろうな!?」
「うむ。約束は必ず守ろう。7つの宝玉を集めて全てわしに供えるのじゃ。そうすれば全ての財宝を元に戻してやろう。」
「婆!! 直ぐに旅の準備じゃ!」 「もう出来とるわい! はよう行くぞ!」
「富士の樹海には恐ろしい魔物が棲むと聞く。くれぐれも気を付けるのだぞ。」
「行くぞ爺!!」 「応!!」

21 :Frobozz三段:2017/12/03 06:40:56 (6年前)  0MONA/0人

爺と婆は地蔵の話が終わらぬ間に家を飛び出した。
一人残された地蔵は爺と婆の背中を見送りながら思った。
弥勒菩薩の転生は現世に救いをもたらす為に必須。
7つの宝玉は弥勒菩薩の転生に必須。
その宝玉を他の地蔵より先に集めることが出来れば地蔵界の権力争いで決定的な優位に立てる。
そして何よりも、宝玉は7つ揃えばあらゆる奇跡を起こすと言われている。
宝玉の力を我が物に出来れば、自分が今の仏を倒して弥勒菩薩のポストを奪う事も出来る。
自分がこの世界の覇権を手に入れる事も出来る。
何もかもが自分の思い通りになるのだ。
石で出来た地蔵の顔がごりごりと音を立てて歪む。
その顔には邪悪な笑みが浮かんでいた。

22 :Frobozz三段:2017/12/03 06:41:58 (6年前)  0MONA/0人

爺と婆はこれから始まる長い旅の道中、あらゆる試練を乗り越えていく事になる。
その中で爺と婆もまた、宝玉に秘められた本当の謎に気づくのであった。
宝玉さえあれば全ての願いが叶う事。
あの地蔵が自分達を上手に利用している事。
地蔵や自分達以外にも宝玉を狙う人間が大勢いる事。
何百年も前から続く幕府や朝廷の争いには全てこの宝玉が関わっていた事。
それら全てに翻弄されながらも、爺と婆は財宝を取り戻す為に戦い続けるのだった。

果たして宝玉は誰の手に渡るのであろうか。
仏の真意はどこにあるのだろうか。
宝玉に秘められた真の力とは一体。
今、大きな戦いが始まろうとしていた。

「傘地蔵戦記 序章 完」

23 :Frobozz三段:2017/12/03 06:54:41 (6年前)  0MONA/0人

元は
昔話の続きを書いていく
http://askmona.org/6890
↑のトピの為に書いてたんですけど締め切ったみたいなんでこっちに書きました

これで大体8000文字ですけど、改行やらなんやらで20レスも消費しちゃいました

他にも面白いストーリーが浮かんだ人は自由に書いていってください

24 :名無し初段:2017/12/03 10:13:17 (6年前)  0MONA/0人

「地球滅亡」
*第1章 2017年12月3日
今日は2017年12月3日。
1人の科学者は2018年3日地球が滅亡してしまうという発表をした。
あと1年、大丈夫なのか、そう心配になりながら人々は暮らした。
それともただの嘘か。
*第2章 2017年12月4日
発表から1日たった。
そしてさらに別の3人の科学者からもそれぞれ別の理由で地球滅亡の発表をした。
内容によれば巨大隕石が衝突し地球は粉々になる。
それは2018年12月3日だという。
今、地球を救う方法、いや、生き残る方法は2つある。
1つは隕石を止める方法だ。
もう1つは別の星に移住する方法だ。

25 :名無し初段:2017/12/03 10:14:09 (6年前)  0MONA/0人

*第3章 2017年12月13日
10日間の研究の結果、人類がどこまで頑張ってもいける星は200しかないと分かった。
さらにそれらの星の中で水はどの星にもないと分かった。
だから別の星に移住は不可能と分かった。
隕石を止めるしかないのだ。
*第4章 2017年12月23日
別の星に移住は不可能と分かってから10日間。
早速、地球救助グループができた。
そしてグループメンバーは直ちに研究した。
作戦としてはまたまた2択だ。
1つは微粉末にする方法だ。
もう1つは地球に近づけない、あるいは地球を動かす方法だ。

26 :名無し初段:2017/12/03 10:14:37 (6年前)  0MONA/0人

*第5章 2018年1月3日
2018年になっても研究は続いた。
そして地球に近づけない方法、地球を動かす方法は不可能と分かった。
微粉末ならまだいける可能性があるらしい。
そして微粉末にしよう!
これが国民全体の思いだ。

27 :名無し初段:2017/12/03 10:15:13 (6年前)  0MONA/0人

*第6章 2018年2月3日
あと10か月、徐々に隕石が近づいてきた。
宇宙矢で削る言う作戦が実行されそうになった。
しかし少しずつ削らないとスピードを増してしまう。
なので中央を貫くのは危険だと分かった。
そう、端から少しずつ削っていくのだ。
そして一発目、見事隕石の端を命中。
そして端は粉々に砕けた。
しかしまだ0.0001%だ。
宇宙矢を100万本発射しないといけないと分かった。
それに150兆円の費用も必要と分かった。
しかし地球のためならと消費税を50%にしても国民は納得した。

28 :名無し初段:2017/12/03 10:15:30 (6年前)  0MONA/0人

*第7章 2018年3月3日
1484本目を発射したとき財産を使い果たしてしまった。
しかし日本国が予算の80%を寄付。
これによって回復したのであった。
*第8章 2018年4月3日
さらに8792本目でまたまた資産切れ。
アメリカ・イギリス・ロシアなど様々な国が寄付していった。
これによってまたまた回復したのであった。

29 :名無し初段:2017/12/03 10:15:59 (6年前)  0MONA/0人

*第9章 2018年5月3日
しかし37264本目でまたまた資産切れ。
もうだめだと諦めこんだいた地球救助グループはある作戦を思いついた。
中央鉱山で金を掘り自分で矢を作ろうとひらめいた。
すぐに金山発掘隊、宇宙矢製造隊が成立。
これによりまたもや回復したのであった。
*第10章 2018年6月3日
10万本目を発射したときあることに気付いた。
あと6か月では100万本発射し終わらないということだ。
そのことに気付いた地球救助グループは100の支社を作り、発射スピードを50倍にまで高めた。
これで大丈夫だ。

30 :名無し初段:2017/12/03 10:16:20 (6年前)  0MONA/0人

*第11章 2018年7月3日
しかし30万本目を発射したときさらに問題を発見した。
中央鉱山の金を発掘し終わり、もう金は取れないのだ。
そして資材は銀に代わった。
しかし威力は半分になり、200万本発射するはめになった。
*第12章 2018年8月3日
やっと半分の100万本に達した。
あと4か月であるが順調に行けば大丈夫と分かった。
しかし銀も使い果たして次は銅。
さらに威力は半分になり400万本発射するはめになった。

31 :名無し初段:2017/12/03 10:16:43 (6年前)  0MONA/0人

*第13章 2018年9月3日
徐々に銅も取れなくなり鉄、石、最終的には木製になった。
もうだめだと分かったとき地中に鉄が眠っていると分かった。
そして鉄を使うようになった。
*第14章 2018年10月3日
地中の金スポットにたどり着き再び金が使われた。
もうあと少しだったがあと2か月しかない。
間に合うかわからない、そんな感じだった。

32 :名無し初段:2017/12/03 10:17:19 (6年前)  0MONA/0人

*第15章 2018年11月3日
地中の金スポットの金も使い果たしてまたまた銀を使用するようになった。
しかしあと1か月、30万本発射することはできるのか!
*第16章 2018年11月13日
あと20日、そんな絶体絶命なときであったが科学者の意見は
「無理」
「ムリ」
「むり」
であった。
しかし地球救助グループは必死になって頑張った。

33 :名無し初段:2017/12/03 10:17:35 (6年前)  0MONA/0人

*第17章 2018年11月23日
あと10日。
国民全員が平和を願った。
地球救助グループも一緒に。
あと12万本だ。
*第18章 2018年12月2日
もう明日。
あと1万本。
「一か八か」
である。

34 :名無し初段:2017/12/03 10:17:57 (6年前)  0MONA/0人

*第19章 2018年12月3日
ついに隕石があと1分で落下するときとなった。
「あと100本だったのにー」
などという声が上がるがもう手遅れだ。
「ドスーン!!!!!!!!!」
しかし落下して気付いた。
落ちたのは海だ。
津波も来ない。
なぜだろう?
そして今気づいた。
あと100本だったからもう割と小さな隕石になっていたのだ。
こうして地球は救われたのであった。
(2046字)

35 :名無し初段:2017/12/03 10:18:11 (6年前)  0MONA/0人

お礼ください
1.下のサイト(自作)を見てください。
https://www3.hp-ez.com/hp/freecoin/
2.仮想通貨も下さい。(どうしても無理なら1だけで大丈夫です)
(MONAはAskMONAで直接送れるのでAskMONAで送ったほうがいいですよ)
MONA MEetTxKaEmNjdQWqiHv3o3ftMa5d7ZEi4t
BTC 32v5Pnj9jhDTFyfcgUpjUTffUFWAnMVVQs
BCH 32v5Pnj9jhDTFyfcgUpjUTffUFWAnMVVQs
ETH 0x8Bb134FE8A543bb4C95f3ED669a7529B94b41727
ETC 0x8Bb134FE8A543bb4C95f3ED669a7529B94b41727
LTC LWEx2XRs92WF9tizMkKWF9M97Fiy5fSPr1

お気に入り

新規登録してMONAをもらえた

本サイトはAsk Mona 3.0に移行しましたが、登録すると昔のAsk Monaで遊ぶことができます。

新規登録ログイン